棗(ナツメ)の木
乃木大将とロシアの将軍ステッセルが、互いの健闘を讃え、水師営で会見したことは余りにも有名な話ですが、その会見所の庭にあった一本の棗の木も、文部省唱歌で有名になりました。
当神社には、現地の棗の木の子木が、拝殿手前と記念館左側に移植されています。
「水師営の会見」の歌
文部省の依頼を受けた佐々木信綱が乃木大将に会って、回顧談を聞き、作詩した小学唱歌です。
作詞:佐々木信綱 作曲:岡野貞一
小学唱歌(明治39年6月)
小学唱歌(明治39年6月)
1、旅順開城約成りて 敵の將軍ステッセル
乃木大将との会見の 所はいづこ水師營
2、庭に一本棗の木 弾丸跡もいちじるく
くずれ残れる民屋に いまぞ相見る二將軍
3、乃木大将は厳かに御めぐみ深き大君の
大みことのりを傳ふれば 彼かしこみて謝しまつる
4、昨日の敵は今日の友 語る言葉もうちとけて
我はたゝえつかの防備 彼は稱えつ我が武勇
5、かたち正して言ひ出でぬ『此の方面の戰闘に
二子を失ひ給ひつる 閣下の心如何にぞ』と
6、『二人の我が子それぞれに 死所を得たるを喜べり
これぞ武門の面目』と大將答力あり
7、兩將晝食共にして なほも盡きせぬ物語
『我に愛する良馬あり 今日の記念に献ずべし』
8、『厚意謝するに餘りあり 軍のおきてに従ひて
他日我が手に受領せば ながくいたはり養はん」
9、『さらば』と握手ねんごろに 分かれて行くや右左
砲音絶えし砲臺に ひらめき立てり日の御旗